「LVトレイナー アップサイクリング」:環境に配慮して誕生したアイコンスニーカー
サステナビリティの実現に向けたロードマップを発表し、持続可能な未来をコミットするルイ·ヴィトン──環境面で特に力を入れているのが、天然資源保護のため、クリエイティブ活動の中で循環型アプローチを取入れることです。メゾンは2025年までにルイ·ヴィトン製品を100%エコデザイン(環境配慮設計)対応とすることを目標としています。その最新の例の1つが、アップサイクリングから誕生した「LV トレイナー」です。
イタリアのヴェネト州 フィエッソ·ダルティコに構えるルイ·ヴィトンのシューズアトリエで活躍するプロダクションマネージャーのダニエラとモデルメーカーのイスマエルは、プロジェクトを最初に聞いた時は驚いたと話します。「マティアスとジュリアンからオリジナルのスニーカーを新しいものに再生させることを頼まれた時、このプロジェクトは実に破壊的なイノベーションだと感じました。完璧なモデルを分解するのですから!」 と。完璧なモデルとは、ルイ·ヴィトンのメンズ アーティスティック·ディレクター ヴァージル·アブローが初めて手掛けた2019春夏コレクションに登場して以来、アイコニックなシリーズとなった「LVトレイナー·ライン スニーカー」──このシューズは今回2021春夏コレクションで一新され、「天然資源の保護のためにクリエイティブで責任のある新たな道を切り拓きたい」というチームの願いからはじまり、大きな進化を遂げたのです。
「LVトレイナー アップサイクリング」は、その名の通り循環的なデザインから誕生しただけでなく、前例のない起源を持つスニーカーでもあり、2年前に発表された初代モデルを分解して再構築されました。このプロジェクトの背景となった循環型デザインと革新的製造プロセスは、メゾンのメンバーである、パリを拠点とするデザインおよびマーケティングチーム、そしてメゾンが誇るシューズアトリエの職人の尽力により実現。彼らが一丸となってエコなアップサイクリングを目指したことが、既存マテリアルの最適化へと繋がったのです。
2016年からルイ·ヴィトンのメンズ·シューズ コレクションのデザインを手掛けているマティアスと、2019年からマーケティングを監督しているジュリアンは次のように述べます。「私たちを動かすのは、新しいアイディアとインスピレーション。これが既存のモデルから生まれると、さらにエキサイティングです。環境への意識と、眠っている在庫を組み合わせることは、理に適っているように思えるかもしれませんが、実際にこの2つを合わせて形にするのはまったく新たな挑戦でした。スニーカーを解体する前に、私たちは考え方と働き方を変えなければならなかったのです。まさにアイディアのアップサイクルでした!」 。新型コロナウイルスの影響でロックダウンが続き、パリとフィエッソダルティコの間の対話はすべてオンラインで行なう必要がありました。イスマイルは、「既存のモデルがベースになったとはいえ、ゼロからのスタートでした」と振り返り、「何をどのように進めればいいのかはわかりませんでしたが、目的は明確でした。既存のモデルから新しいスニーカーを作り上げる、という史上初のチャレンジに挑むことです」 と説明。徐々にオリジナルよりもカラフルでローカットなプロトタイプが出来上がり、そのシェイプはメンズ アーティスティック·ディレクターのヴァージル·アブローにプレゼンテーションされました。すぐにOKサインを出したヴァージルは、シューズの組み立てガイドラインとなるセンタリング、カット、縫い糸の端をあえて最終モデルに残し、珍しいアイディアを見せたのです。「この予想外な決定のお蔭で、強く、魅力的で、実にクールなモデルが出来上がったことを嬉しく思います」とマティアスとジュリアン。メゾンの持続可能な取組みが一目で分かる「LVアップサイクリングエッジング」がスニーカーのかかと部分にあるのもポイントです。
「今までにない挑戦でした。目的を果たすには、なぜ、そしてどのようにプロジェクトを進めるのかという説明を何度も繰り返す必要がありましたが、大きな成果がありました。新たなアップサイクル·コレクション、そしてまったく新しいマインドセットを形にするとことができたのです!」と話すマティアスに対して、ジュリアンは「チームワークがドリームワークを可能にしたということですね!」と心の底から共感しました。