ルイ・ヴィトンの気候変動への取組み
ルイ・ヴィトンの温室効果ガス排出量削減目標は、2021年に科学的根拠に基づく目標イニシアティブ(SBTi)によって認証されています。地球温暖化を1.5℃未満に抑えるという軌道に沿ったもので、2030年までに二酸化炭素排出量を2018年比で55%削減することを目指しています。2年が経過した今、主に2つの成果がメゾンの環境パフォーマンスを際立たせています。
- 消費量の削減と再生可能エネルギーの利用拡大によるエネルギー自給率の向上
- わずか3年間で、ルイ・ヴィトン製品の二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)*を12%削減
*既存の排出係数データベースに基づき、GHGプロトコルに従って測定された2021年の二酸化炭素排出量。
これらの進歩は、気候変動についての社員の意識改革によって強化され、チームワークの結集がもたらした素晴らしい成果です。メゾンのチェンジメーカー(変革者)が、その取組みをご紹介します。
- 外部調達における責任
ルイ・ヴィトン製品の原材料は、動物・植物・鉱物など供給源に関わらず、最も厳しい環境基準に従って選定されています。これにより、2つの主軸──バージン原料の比率低減、素材の製造工程の最適化(エネルギー消費と化学薬品の使用削減)──を通じて、製品の二酸化炭素排出量削減に貢献。2022年時点で、メゾンが調達する原材料の80%以上がすでに環境認証取得済かリサイクル素材であり、レザーの認証取得率は96%に達します。
バージン原料への依存を軽減するため、ルイ・ヴィトンのチームは使用する素材を最適化し、リサイクル素材や生物由来の素材の使用を増やしています。全体的に、レザーグッズ製品でのリサイクル素材の使用は増えており、その例として、100%リサイクルナイロン由来のエコニール©を使用した「LV ピロー・ライン」や100%リサイクルポリウレタンを使用したスマートフォンケース「リ・トランク」などがあります。シューズ製品では、サステナブル仕様のスニーカー「LV トレイナー・ライン」に続き「チャーリー・ライン」が登場。どちらも環境に配慮した素材を90%以上使用しています。
このように外部調達における責任を持つことで、メゾンは原材料による二酸化炭素排出量を8%削減しました。
- 脱炭素輸送:
2023年、サプライチェーン・チームは、倉庫管理、輸送、製品修理に関する野心的な目標を設定したSHIFT(Supply Chain Initiatives for a Faster Transition)プログラムを通じて、環境への貢献を強化。輸送面では、2020年以降、海上および鉄道輸送の利用を増やすことで、航空貨物の利用を減らす努力をしており、2026年までにベストセラー製品の100%を船や鉄道で輸送することを目標としています。これは、レザーグッズ製品やアクセサリー製品全体の30%から35%に相当します。
同時に、ルイ・ヴィトンはSAF(Sustainable Aviation Fuel)──持続可能な航空燃料の使用を増やすことで、航空業界全体のエネルギー転換にも貢献。使用済み食用油のみで作られるこのバイオ燃料は、従来のジェット燃料である化石ケロシンよりも二酸化炭素排出量が80%少ないためです。このような取組みにより、2022年、メゾンの航空貨物による二酸化炭素排出量は、2018年に比べ20%削減されました。
また、各地の道路輸送の脱炭素化も進めています。2030年までにディーゼルに代わるエネルギーを100%使用することを目標に掲げ、フランスや最近ではインド、そして世界の15都市で、アトリエと倉庫や店舗への配送に電気自動車や天然ガス自動車を使用するよう、すべてのパートナーに推奨しています。
- エネルギー効率:
私たちメゾンは、空調設備と温度の管理、設備の更新、そして現場チームの強いコミットメントにより、アトリエのエネルギー消費量を30%削減することに成功しました。省エネと再生可能エネルギーの開発を組み合わせたグローバルな取組みの具体的な成果の1つです。
最近完成したルイ・ヴィトンのアトリエでは、生物気候学に基づく建築デザインを採用し、従来のアトリエと比較してエネルギー消費量を50%削減。取組みを進めるため、2022年にはすべてのアトリエで省エネプログラムが導入され、2021年-2022年に20%、2022年-2023年には15%のエネルギー消費量を削減することができました。
さらに、より効率的なエネルギー消費へ転換するため、私たちは再生可能エネルギーに多額の投資を行っており、2022年までに、フランス国内の拠点(本社、店舗、アトリエ、倉庫)の100%、全世界のアトリエと倉庫の71%をグリーン電力へ切り替えています。このイニシアティブは2023年も継続され、フランスのアトリエと倉庫ではメタン化による再生可能ガス(バイオガス)を使用し、店舗を含め、世界中で再生可能エネルギーへの転換を進めています。この2つの取組みにより、二酸化炭素排出量を80%削減することに成功しました。ルイ・ヴィトンでは、すべてのアトリエや倉庫への太陽光発電パネル設置を開始し、すでに6ヶ国で20以上のプロジェクトが実施され、敷地内の消費量の平均30%を太陽エネルギーで賄っています。
このような取組みの結果により、2030年までにエネルギー消費に起因するカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を55%削減するという目標を達成できると確信しています。