一時的なものから持続可能なものへ:ルイ・ヴィトンが手掛けるイベント装飾の再利用
ヴァージル·アブローによる2021秋冬メンズ·コレクションの発表の数日前、パリ16区の南端にあるパリ テニスクラブは喧騒に包まれていました。普段ならラケットで打たれたボールの音が響くテニスコートに、ドリルやグラインダーの音が響きわたり、期間中はテニスプレイヤーたちの代わりに、ルイ·ヴィトン チームやそのパートナーがモダンな演出に彩られたショーの舞台を作り上げるために懸命に働いていました。舞台が組み立てられている最中、イベントチーム、環境チームのマーゴット、セリア、エマニュエルはすでに解体方法まで検討。制作会社や文化協力パートナーと協力し、廃棄物ゼロを目指し、回収、再利用、リサイクルされる「持続可能な材料」を選択·決定しながら設営が進められました。
ルイ·ヴィトンの作品は、ショーからウィンドウ·ディスプレイ、さらにエキシビションにいたるまで、長く使用できるように設計されています。材料の選択から使い切るまで、一時的なショー設備の環境への影響を減らすための具体的な解決方法をどうまとめるか──初期段階からイベントチーム、ビジュアルイメージスタジオ、環境チームがシーズンごとに共同で取組みます。これらの解決方法は、私たちのアプローチを進化させ、クリエイティブな挑戦でもあります。しかし最も重要なことは、これらの方法が効果的な結果を出しているということです。2020年には、主たるメゾンによるイベントで使用された材料の85%が再利用、リサイクルされました。この結果の達成のために、私たちのチームは材料のライフサイクルをより良い形で終わらせるように、大きく2つの分野を模索しています。 再利用(協会への寄付の形で)とリサイクルです。「サマリテーヌ」で開催された2020秋冬ウィメンズ·ファッションショーにて使用されたすべての材料(主に木材、金属、プラスチック)は、文化的創造の分野で再利用されたため、マテリアルの寿命が延びることに繋がりました。同様に、メキシコシティで2019年に開催された「Time Capsule」展では、装飾材料の100%が、2つの現地慈善団体に寄付されました。さらに、私たちのチームと現地パートナーの連携によって、ルイ·ヴィトンのリサイクルへのアプローチは、新しいサステナブルな取組みを実現。これは、海洋プラスチックごみを含むリサイクルプラスチックを使用した魚の群れをモチーフにしたウィンドウ·ディスプレイ「Shoal of Fish」 で、日本でも実証されています。
ショーの装飾はコレクションの発表直後に解体され、回復したパーツはすぐに新しい役割を果たすためのライフサイクルステージに移ります。今回の2021秋冬メンズ·コレクション発表にて使われた合計100トンの材料のうち、51トン以上の木材、金属、プラスチック、敷物が集められ、協力団体(主にアート系·文科系組織)の手によって新しいライフサイクルがはじまりました。残り約50トンは、主に社内で再利用されました。例えば、トラバーチンフローリングの一部は、ショールームのビジュアル·マーチャンダイジング チームによってすぐに回復され、ヴァンドームとボーリューのアトリエに送られ、すでにライフサイクルの第3フェーズを迎えています。
このような前向きな結果は、ルイ·ヴィトンが天然資源の保護を支持する近年の取組みに応えていることを示しています:2025年までにイベントおよびウィンドウ·ディスプレイで使用される材料の100%を再利用またはリサイクルする。これは、メゾンの目的の大きな一部です。つまりそれは、「エフェメラル(一時的)」を「持続可能」にすることなのです。